球天下体育

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管理栄養士専攻3年生による初めての学外実習

2023.12.14

臨地実習Ⅰ(給食経営管理の領域)報告会

食物学科管理栄養士専攻3年生による「臨地実習Ⅰ」の報告会

2023年10月28日(土)に、食物学科管理栄養士専攻3年生が「臨地実習Ⅰ」の報告会を行いました。「臨地実習Ⅰ」とは大学3年次に事業所(企業の社員食堂など)で給食経営管理を体験する、学生にとって初めての学外における実習です。管理栄養士になるために必要な「臨地実習Ⅰ?Ⅱ?Ⅲ?Ⅳ」という一連の実習の最初の科目であり、この後に病院実習(臨地実習Ⅱ?Ⅲ)と保健所実習(臨地実習Ⅳ)が続きます。
今年度の「臨地実習Ⅰ」は8月中旬から10月中旬にかけて18施設に学生たちがそれぞれ赴き5日間の実習に臨みました。報告会では3年生による報告を、次年度経験することになる2年生がオンラインで視聴し、質問も多く飛び交いました。
今回は数ある報告の中から、今年度から新たに本学の実習生を受け入れていただいた、テンダーラビング保育園における実習報告をご紹介します。実習施設は株式会社テンダーラビングケアサービスが運営する26ある直営保育園の1つであり、管理栄養士専攻3年生の大柳泰子さん、岩間美穂さん、邨田あかねさんの3名が実習に赴きました。

報告会にて、会場からの質問に回答する大柳さん、岩間さん、邨田さん/臨地実習Ⅰの指導をし、報告会を進行する松月教授
報告会にて、会場からの質問に回答する大柳さん、岩間さん、邨田さん/臨地実習Ⅰの指導をし、報告会を進行する松月教授

【実習報告】テンダーラビング保育園にて
年齢?発達に合わせた食育を学ぶ

実習中は給食の下処理と盛り付けなどの調理場業務のほか、保育園の子どもたちへの食育活動も体験しました。テンダーラビング保育園は食育活動に力を入れており、0歳児からの年間食育計画を立案して食育を行っています。今回の実習期間中には、1歳児クラスにおける野菜の断面をスタンプにした作品づくりや、2歳児クラスにおける給食献立と食材の説明、5歳児クラスへの給食室紹介を行いました。これらの食育の目的は、子どもたちに食に興味を持ってもらい、食を楽しいものだと思ってもらうことです。年齢や発達に合わせた内容?伝え方で食育をすることが、将来、食の知識や技術を習得するための土台作りになっていると感じました。
また印象的だったのは、子どもたちが「どうやって作っているの?」「これは何?」などと質問してくれたり、「今日の給食全部食べたよ。美味しかった!」などと声をかけてくれたりしたこと。食育を円滑に進めるためには、クラス担任の保育士の先生と、管理栄養士の先生が協働した上で、子どもと交流することが大切だと学びました。

5歳児クラスで写真や調理器具を見せながら給食室を紹介した
5歳児クラスで写真や調理器具を見せながら給食室を紹介した

【報告会ご講評】
テンダーラビング保育園

写真左から 株式会社テンダーラビングケアサービス二瓶先生、尾形先生
写真左から 株式会社テンダーラビングケアサービス二瓶先生、尾形先生

——実習中、直接ご指導いただいた尾形先生より

実習報告の中には、「SDGs」や「フードロス」など現代ならではの課題が多く出ていたように感じました。それらの社会課題を学ぶことは重要ですが、皆さんが管理栄養士として社会に出たときには、状況が少し変わっているかもしれません。一方で、世の中が変化しても衛生管理や生産などは基本的に変化しません。大学ではそういった変わらない軸を意識して学びを深めると、将来管理栄養士になられたときに、大学で学んだことと現場の知識がスムーズに結びつくのではないでしょうか。

 

——管理運営部給食運営課長 二瓶先生より

初めての実習は、緊張の中で目の前の作業に追われたことだと思います。さらには本日のために、限られた時間の中で報告をまとめるというのは、とても大変なことだったと思います。ですがこのプロセスこそが深い学びに繋がったのではないでしょうか。

今回初めて日本女子大学の実習生を受け入れるにあたって、私たちは「給食」について改めて考えました。以前、小学校の先生が「給食を経験してない子が、そのまま小学生になると、ヨーグルトの蓋を開けるところから教えなければならないのよ」と話されていました。大人でも「主食」が分からない方もいらっしゃいます。給食とは、食育における重要な実物教材だと私たちは考えます。給食があれば誰でもどこでも、五感を働かせて食を学ぶことができるのです。

実習した皆さんには今回の経験を次の実習や勉学に生かしていただきたいと思っています。そして皆さんが多くの方々の健康を支える社会人になってもらえたら、受け入れた立場として、こんな嬉しいことはありません。これは実習を受け入れた全ての施設に共通する思いではないでしょうか。

3年次アドバイザーの佐古講師(写真左)と野田助教(写真右)からもご講評いただいた
3年次アドバイザーの佐古講師(写真左)と野田助教(写真右)からもご講評いただいた

日本女子大学ならではの
臨地実習Ⅰの特徴とは

本学における「臨地実習Ⅰ」の最大の特徴は、実習先に恵まれていることです。本学では企業の食堂のほかに自衛隊や小?中学校、そして今年度から保育園、セントラルキッチンでも実習を行いました。食物学科の松月教授のご尽力と本学卒業生の活躍によって、快く実習を受け入れてくださる施設が年々増えています。また大手企業が多いことも特徴の1つです。守秘義務のため企業名はご紹介できませんが、誰もが知る大企業で有名店監修メニューやイベントメニューの開発現場を見学したり、グローバル企業でメニューの英語表記やSDGsへの意識の高さを学んだりもできます。
その他、実習内容にも特徴があります。単なる業務体験ではなく深い学びを得られるよう、本学では「事前課題」と「テーマ学習」を行っています。事前課題は各実習先からいただくもので、ある実習班では「メニュー開発」の課題に対して、実習前に試作を重ねてメニューを考案し、実習中に企業の食堂にて調理?販売までを行いました。また「テーマ学習」は学生自身が定めるものであり、今年度は「SDGsに配慮したメニュー開発」「値段以上の満足感を与えるための工夫」「地産地消の取り組みと食育」などのテーマについて、実習中に管理栄養士の方に質問をしたり、業務体験に取り入れたりする中で学びを深めました。
臨地実習Ⅰの後には、病院実習(臨地実習Ⅱ?Ⅲ)と保健所実習(臨地実習Ⅳ)が控えています。今回の実習で学んだことは、続く学外での実習で生きてくるとともに、進路選択の重要な指針となります。また今回は報告を聞く立場だった2年生も次年度の実習に向けて、実習の目標を立てられたのではないでしょうか。学年を越えて学び合うことで長期的な視野を持って管理栄養士を目指せることも、本学の臨地実習の特徴かもしれません。

※家政学部食物学科管理栄養士専攻を基とする食科学部栄養学科(仮称)を、2025年4月に設置構想中です。