【卒業生インタビュー】日本女子大学で見つけた目指すべき教育者像
2024.09.10
こんにちは。JWU PR アンバサダーです。今回は埼玉県の久喜市立砂原小学校に在籍しながら、埼玉県の学力向上に資する福井県への派遣研修教員として福井県内の小学校に勤務されている齋藤果織さんにインタビューを行いました。現在のお仕事や学生時代に経験されたことなど、たくさんのお話を聞かせていただきました。
さまざまなことに取り組んだ大学生時代
高校時代、女子校で学んでいたこともあり、女子大に入学することへの抵抗が少なかったことや、小学校と中学校の教員免許をどちらも取得できることに魅力を感じ、日本女子大学の人間社会学部教育学科に進学しました。
大学では、授業やゼミでの勉強以外にもNPO法人での議員インターンや塾でのアルバイトなど、多くのことに取り組みました。憲法の授業で勧められて、友人と裁判の傍聴に行ったりもしました。学生時代にさまざまな経験をしていたことで、小学校で子どもたちに実体験として語れることが増えたことは、よかったなと感じています。
また、今でも年に何度かは大学時代の友人たちに会い、お互いの近況を報告し合っています。私にとって日本女子大学は「一生付き合っていきたい」と思える友人に出会えた場所だと思っています。
考え続けた子どもとの「距離感」
教員になることを最終的に決めたきっかけは、大学3年時の小学校での教育実習でした。担当させていただいたクラス内で「関わり方が難しいな」と感じていた児童に、給食の配膳時にエプロンをしていないことを注意したら、一時的にほとんど口をきいてくれない状態になってしまいました。後になって、指導していただいた先生に「あの子は当番を毎日継続できないこともあるのだけれど、実習生が来ると聞いてエプロンを持っていなくても配膳係の仕事を頑張ろうとしていたんだよ」と教えていただきました。もちろん指導しないといけないのですが、うまく児童の気持ちを汲み取れなかったことや、話を聞いてあげられなかったことがとても心残りでした。
教育実習での経験もあり、卒業論文は「叱られの内省」というテーマで執筆しました。叱られた子どもが、どのように反省して次に活かすことに繋げるのか、あるいは叱ってきた人間に対しての怒りや恨みで終わってしまうのかをインタビューやアンケートを行なってまとめました。最終的には、お互いの信頼関係が子どもの「次に活かそう」という思いの基盤になることや、就学前の親子関係の段階で「?るのはあなたが嫌いだからではなくて、こうなってほしいからだよ」という認識が育まれていると学校での注意もプラスの方向で受け取ることができるのではないか、ということを書きました。
教員になってからも、一番大切なのは子どもとの「距離感」だと思っています。1年目はなかなかうまくいかず、指導のタイミングや子どもたちとの認識のズレに悩みました。「信じてもらえていないな」ということを子どもは簡単に見抜きます。「変容を信じているよ」という気持ちが伝わるような接し方を最近はできるようになってきたと感じています。
今に繋がっている日本女子大学での学び
大学1年生のときに受けた授業で、教育学科の井上信子先生が一人ひとりの発表に対して「あなたが先生になったら、きっとこういうふうに思う子どももいるし、こう思う子もいるよ」と、子どもたちの視点に立ってご意見をくださったことがありました。私はリーダーシップを褒めていただいた一方で、「グイグイ引っ張っていく先生を苦手だと思う子どももいる」と指摘をいただきました。当初はあまり納得できていなかったのですが、教育実習での経験や教員として過ごしていくうちに井上先生の言葉を実感できるようになりました。また、「無理にクラスの全員の児童に好かれようとしなくていいんだよ」とも言っていただきましたが、教育について学び始めた早い段階で、教育の核心を突くような言葉をいただけたことは本当に良かったと思っています。
教育学科での数々の教材球天下体育や指導案を作成した経験は、授業を行うときはもちろん、所属する学校が独自に行う球天下体育やその発表にも活かされていると感じます。
自分だけのかけがえのない経験をしてほしい
これからも子どもたちが「面白い」「楽しい」と思える授業ができる先生になれるように努力し続けたいと思っています。私自身の経験の幅が広がれば広がるほど、子どもたちに語れることも増えていくので、これからもさまざまな経験をして、知見を深めていきたいです。日本女子大学で学ばれている皆さんも、今しかできないことに積極的に取り組んでほしいと思っています。皆さんが積まれた一つひとつの経験がきっと社会に出てからも役に立つはずです。
プロフィール
齋藤 果織 さいとう かおり
大学から本学で学び、2016年3月に人間社会学部教育学科を卒業。同年4月より埼玉県の公立小学校教員に。現在は2校目となる久喜市立砂原小学校に在籍しながら、埼玉県の学力向上に資する福井県への派遣研修教員として福井県内の小学校に勤務。
interviewを終えて
教育学科で学んでいる私にとって、齋藤さんにインタビューをすることはとても嬉しいことであり、興味深くお話を伺うことができました。
子どもとの距離感についてお話しされている様子から、齋藤さんは子どもを単に「児童」ととらえず、一人の「人間」としてとらえて接しているのだと感じます。また、さまざまな経験や深めてきた知識の蓄積が今の齋藤さんのご活躍につながっているだけでなく、これからもさらに学んでいくとおっしゃっていたことに感銘を受けました。
私も、日々の学びや活動に対して妥協することなく、自分を高めていく姿勢を常に崩さずにいようと思います。
(JWU PR アンバサダー/人間社会学部 教育学科2年 石原愛珠)