「年金対話集会」で考える、私たちのライフ?キャリア?マネープラン
2023.07.19
6月27日(火)、人間社会学部社会福祉学科の2年次からの選択科目「社会保障原論」内で、厚生労働省年金局の職員を招いて「年金対話集会」を行いました。本学では、昨年に引き続き2回目の実施となります。
「年金対話集会」は、年金制度を理解し自身の年金について一緒に考えることを目的として、年金局が2019年度より要請のあった各大学で実施しています。
「年金対話集会」に応募した理由について、授業を担当している中尾 友紀教授は次のように話されていました。
「『社会保障原論』では、そもそも社会保障とは何かという理論や発展の歴史的経緯等も学びますが、同時に、現行の社会保障制度について議論できる知識を身につけられるようにしています。社会福祉は日常生活が困難な人を援助していますが、そのためには現行制度の改善が必要だと考えているからです。
この延長として、せっかく議論できる知識を身につけるなら、その知識を使って実際の政策策定担当者と直接議論してみる、内輪で文句を言ったり批判したりするだけで終わるのではなく、直接意見をぶつけ、その反応からさらに学びを深める、そうした実践的な学びができればと考えました」
女性の資産形成を学び
年金について議論を交わす
「年金対話集会」は講義と座談会の2部制で行われます。1部の講義では、通常は年金局の方がスピーカーを務めるそうですが、今回は新たな試みとして、社会保障審議会企業年金?個人年金部会の委員等を務めているオフィスベネフィット代表の岩城 みずほさんに講義を行っていただきました。
岩城さんには「人生100年時代。自分のライフプランに合わせた資産形成を」と題し、平均寿命が男性よりも長い女性がライフ?キャリア?マネープランをどのように考えれば良いかや、資産形成のポイントなどをお話いただきました。学生たちは岩城さんの話に耳を傾け、手元の資料にその内容を熱心に書きとめていました。
講義の後は3グループに分かれ、年金局職員とともに議論を交わします。学生からは、「年金制度は今後どうなっていくのか」「在職老齢年金制度は必要なのか?」「日本と海外との投資や資産形成に関する意識の違い」などの質問が挙がり、年金局の方たちに一つひとつ丁寧に回答いただき、有意義な時間を過ごすことができました。
最後に、授業後のアンケートに寄せられた学生の声を一部紹介します。
?私たちが働くうえで払うことになる国民年金等は、ただ支払う義務のあるお金という認識を持つのではなくて、今支払っている年金は将来自分が目指すライフプランに足りるものなのか、今後理想の人生を生きるためには何をすればいいのかなど、資産形成に対して、主体的に関わっていくことが必要だと思った。投資や株式など自分には無縁のことと考えていたが、今後の人生を考えることは今からでも早くないと思うので、積極的に取り組んでいきたいと、この講義を通して考え直すことができた。
?日本の年金問題についてさらに当事者意識を持って考えなければいけないと思った。みんなの年金として問題を捉える時、労働市場も大きく関係していることが分かった。高齢化、人口減少が見込まれる中で働きやすい環境を整え労働人口を増やし、さらに私的年金の役割を普及していく必要があると思った。
?社会福祉士として働くうえで出会う人々は貧困状態の人が多く、たとえ低価格から始められるとしても資産形成をする余裕はない人が多いのではないかと考えた。福祉の中でどのように私的年金を活用していけるのか、今後考えていきたい。
?国民年金と厚生年金にはおそらくこれから自然に入るけれど、それだけではなく資産運用にはたくさんのパターンがあって、自分の人生プランに合わせてカスタマイズするものなのだと知った。ずっと自分の親や祖父母がどのようにお金を工面しているのか分からなかったが、この授業を通して話してみたいなと感じた。大人になってから考え始めるのでもいいが、就活も年金の保険料の支払いも始まっていない状態でお話を聞くことができ、さらに知識を深めてみたいなと思った。質問はできなかったけど、実際に最前線で働く方の意見は貴重だし、これからの人生設計に間違いなく影響してくると思う。今回の対話集会に参加することができてとても良かった。