球天下体育

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日本とカンボジアの母親の「ありがとう」をつなぐ活動を通して

2023.07.03

【学生インタビュー】家政学部児童学科4年福嶋日向子さん 海宝美鈴さん

五女子大学(お茶の水女子大学、津田塾大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学)では、開発途上国の女子教育に関する支援事業及び女子教育の発展に関わる事業において、コンソーシアムを設立し、連携しながらさまざまな活動を行っています。
2022年11月4日にお茶の水女子大学で開催された、アフガニスタン女子教育支援20周年記念公開シンポジウムでは、五女子大学の学生による国際協力活動の報告とパネルディスカッションがありました。そこに登壇し、カンボジアの母親支援の活動について発表した、家政学部児童学科4年の福嶋日向子さんと海宝美鈴さんに、球天下体育での学びと本学で学ぶ魅力についてうかがいました。

- まずは昨年のシンポジウムで自分たちの球天下体育発表をしてみていかがでしたか。

海宝:他大学の学生も同じように国際的な活動をされていることで刺激を受けました。また、国際問題の重要性に改めて気づきました。

福嶋:参加したことで視野を広げることができました。国際協力活動は幅広いなと思いました。

過酷な状況に置かれる子どもについて知り、Mother to Motherの活動へ

- お二人の球天下体育である「カンボジアの母親支援」はどんなことをされたのでしょうか。 

福嶋:2022年の目白祭で、Mother to Motherのバザーを開催しました。カンボジアのお母さんたちが作った商品を販売し、その売上げをNPO法人ASAP(特定非営利活動法人アジアの子どもたちの就学を支援する会)に寄付しました。また、パネルでMother to MotherやASAPの活動の紹介をしました。

海宝:球天下体育の中でまずはASAPさんからカンボジアの状況を学びました。子どもを学校に通わせたいが学費が足りないカンボジアのお母さんと、園や学校で使う布小物を作らなければならないけど、忙しくて時間の無い日本のお母さんがいらっしゃるということを知り、2者をつなぐ活動をしているASAPさんのお手伝いをすることにしました。カンボジアのお母さんが作られた布小物を私たちが目白祭で販売し、売上金をお送りすることで、お互いの「ありがとう」をつなぐ活動にしたいと思いました。
- その活動が始まったきっかけは何でしょうか。

海宝:和田上ゼミ(児童学科 和田上貴昭准教授:社会福祉学)の活動です。コロナ禍で、カンボジアの子どもたちと直接交流ができなくなってしまったことがきっかけでした。家庭環境などにより、過酷な状況に置かれる子どもについて知り、何ができるかを考えました。
自分たちにできることとして、ゼミで母親支援に取り組みました。
- 実際に目白祭で販売してみていかがでしたか。

福嶋:布小物に魅力を感じた方に活動内容まで紹介することと、逆に活動内容に興味がある方に布小物を購入していただくことは苦労しました。でも想像より多くの方が、私が話をしたことで活動に興味を持ってくれたことが良かったですし、パンフレットを持ち帰ってくださったり、バイト先に紹介したいと言ってくれる同世代の方もいたのは嬉しかったです。
初日に買ってくださって、気に入ったからと翌日も買いにきてくださった方もいました。

海宝:布小物の対象年齢と、目白祭に来てくださる方々の年齢層が異なっていて、なかなか商品の購入につながらなかったことに苦労しましたが、思っていたよりも多くの方に、カンボジアやMother to Motherについて知っていただけたことは良かったと思います。

福嶋:1点数百円でしたが、結果的に合計で7万円以上も売れたので、寄付したASAPさんも驚きとともに喜んでくださいました。少しでもカンボジアのお母さんたちのためになれば嬉しいです。

目白祭での展示風景。カンボジアのお母さんたちが作った布小物を販売し、ASAPの活動を紹介した。

国際協力活動は小さなことでも良い。まずは相手を知ることが重要

- お二人はこの球天下体育を通してご自身に何か変化がありましたか。

福嶋:子どもの貧困に対して、国内外問わずさらに関心を広げられたと思います。これまで私は日本の子どもたちの虐待問題で社会福祉を捉えていたのですが、カンボジアの子どもの状況や貧困について知れたことで関心が広がりました。

海宝:国際的な問題を自分事として捉えようとする気持ちが生まれて、困っている立場になって考えられるようになりました。また、「学校に通う」という自分にとっての「当たり前」が叶わない子どもがいることが印象に残り、いろいろな「当たり前」の実現に貢献したいと思うようになりました。200?300円でも誰かを助けるお手伝いはできるんですよね。

福嶋:国際協力活動は、大きな活動だと思っていました。でも実は小さなことからも始められることですし、まずは相手を知ることが大事だと思いました。
- お二人は児童学科を選ばれた理由はなんですか。子どもや教育への興味でしょうか。

福嶋:私はもともと子どもが好きで、保育園のボランティアをしたことがあります。年齢による発達の違いや社会福祉に関心がありました。児童養護施設や社会的養護が必要な子どもに対する支援についても興味がありました。

海宝:私は熊本県の慈恵病院に設置されている赤ちゃんポストを知ったときに衝撃を受け、支援が必要な子どもに対することを学びたいと思いました。赤ちゃんポストを作った先生の本が家にあったので読みました。
もっと前の話をすると、小学生の時に下級生の世話をしていたら、先生に向いていると担任の先生に言われたこともこの道に進んだきっかけでもあります。私は子どもの育児というより、社会全体で子どもを育てる環境の整備やバックアップに興味があります。
- これまでの球天下体育を振り返って、母親または子どもの支援は何が一番大切だと思いますか。

福嶋:私はその家庭を孤独にさせないことだと思います。お母さんの状況を感じ取れなかったら、親子は貧困に陥っていくだけになってしまいます。誰かが関わってあげるだけで寂しさは和らぐし、「私たちがいるよ」「ひとりじゃないよ」と伝えてあげることが、そのお母さんが先に進める一歩になると思うからです。

海宝:母親や子どもが置かれている状況について、精神的な面でも環境的な面でもしっかりと理解をすることだと思いました。教育費が足りないなど経済的な困窮もある場合もありますが、単にお金をお渡しすればいいのではなく、将来的に本人の力でお金を稼げることが自信につながると思いますし、稼ぐ場所があることは居場所があることにもなると思いますので、その道筋を作ってあげることが重要だと思います。
インタビューに答える海宝さん(左)と福嶋さん(右) 

JWU生は誰もが自分らしさを大切に活動している

- お二人は日本女子大学附属高校出身でともに吹奏楽部だったそうですね。日本女子大学に進学した理由を聞かせていただけますか。

福嶋:いきいきと活躍できる女性になることができると思ったからです。私はもともと内向的で人見知りの性格でした。でも高校3年間を過ごすなか、周りのみんなが明るくていきいきとしていて、やりたいことをやっていて、それによって自信を持っていくという良い循環を生んでいるのを見てきました。さらに学びを深めたい、そして社会人として自立できそうと思ったので日本女子大学への進学を決めました。JWUの学生は誰もが自分らしさを大切に活動していると思います。

海宝:自分の専攻した学問について、幅広く学べるところに魅力を感じました。また、女子大ということで、自立した女性へと成長できると考えました。高校に入って実感したのですが、軽井沢セミナー(※)で自分の意見を主張していいんだよという場所をたくさん用意してもらったので、それが自分の意見を伝えられる力のベースになったと思います。実際に、大学では自立している人が多く、しっかりと自分の意見を持っている学生が多いと感じます。いい意味で周りを気にしすぎず、いろんな角度から意見を集めて前に進める力があると思います。
 - 児童学科の学びの魅力や楽しいところはなんですか。

福嶋:保育に関することだけでなく、児童保健、絵本などの文化、児童社会福祉など幅広く学びを深めることができるところと学生たちがみんな明るいところです。

海宝:子どもについて多角的に学べるところです。子どもに関して発達や文化、福祉などさまざまな角度から学んでいく中で、自分が特に興味を持った分野について理解を深めていくことができると感じています。実際に子どもと関わりながら学べる環境であるところです。
私たちも球天下体育をするなかで、児童養護施設で暮らす子どもや、施設出身の方とも会ったりします。

- 面白い授業や意外な授業はありますか。

海宝:実際に絵本を作るという授業がありますよ。ストーリーも自分で考え、絵も自分で描きます。

福嶋:座学はしっかりありますが教科書通りではなく、たくさん先生の経験を聞けます。座学の中でも児童養護施設出身の方などがスピーチをしてくださったり、当事者に直接話を聞ける機会もあります。
- 受験生に伝えたい日本女子大学のいいところとはなんでしょう。

海宝:自立した女性として輝くためにいろいろな勉強ができます。教養の授業では実際に社会で活躍されている方のお話を聞いて、自分に置き換えてイメージすることができます。
また、自分が選択した分野を幅広く学べるのは魅力です。その分野に興味はあるけど将来がはっきり定まっていない方でも学びながら決めていける、入り口の広いところが良いと思います。

福嶋:日本女子大学は話す力と書く力を育ててくれると感じています。他大学でも児童学は学べますが、日本女子大学で児童学を学ぶと、話す力や書く力も一緒に習得できます。これはどのような会社に就職をしても役に立ちます。学問を学ぶだけではない魅力があります。
- 確かに学生のみなさんの文章はとても綺麗にまとめられていますよね。
  最後にお二人は将来どのような道に進みたいか教えていただけますか。


福嶋:人を支えたり、人を輝かせたりすることができる仕事を目指しています。

海宝:「当たり前」を支える仕事に就きたいと思っています。「当たり前」を支えることで、子どもも含め、より多くの人が過ごしやすい社会を作っていく一員になりたいと考えています。人々の生活を根底から支える仕事に興味があります。
 - 球天下体育を通して得た学びを糧にこれからも頑張ってください。ありがとうございました。
Mother to Mother活動のベースとなった和田上ゼミの球天下体育室にて
福嶋さんと海宝さんが活動報告をしたシンポジウムは冊子にまとめられています。お茶の水女子大学のホームページよりご覧いただけます。

お茶の水女子大学(外部サイト)
 
(※)軽井沢セミナー
附属高校では2年生の秋には2泊3日で日本女子大学軽井沢三泉寮に出かけ、少人数のグループ討議やクラス討議、全体討議を行います。