篠原球天下体育室デザイン「Shared Bench for Animals (Tobusa)」の「Arte Sella」(アルテセラ)への展示
2021.06.29
日本女子大学 学長
家政学部 住居学科
篠原聡子教授
篠原球天下体育室デザインの作品が、日本の大学として初めて、イタリア環境アートの聖地「Arte Sella」(アルテセラ)に展示
日本女子大学の篠原球天下体育室でデザインした「Shared Bench for Animals (Tobusa)」/『森の動物が訪れ、人と動物がシェアするベンチ』というテーマである作品が、2021年6月13日より、イタリア環境アートの聖地でもある北イタリアの屋外美術館「Arte Sella」(アルテセラ)で展示が開始されました。
アルテセラで、日本の大学が制作した作品が展示されるのは初めてで、日本人としては隈研吾氏以来の作品展示となります。
アルテセラは、1986年にブルゴ?バルスガナに住む友人グループが現代美術と自然の組み合わせを想像するため実験的な形で生まれたイタリアの環境アートの聖地で、30年以上に渡り、芸術、音楽、ダンス、そのほかの人間の創造性の表現が融合し、人間の創意工夫と自然界との間のユニークな対話に生命を吹き込む場となっています。
Shared Bench for Animals ‘ Tobusa’
本展示は、日本女子大学の学長でもあり住居学科の篠原聡子教授に、ミラノ工科大学のマルコ?インペラドリ教授から、イタリアの環境アートの聖地である「アルテセラ」にて、“シェア”をテーマにした作品展示の打診があり実現しました。
「Shared Bench for Animals (Tobusa)」
高い木の枝には鳥がとまり、幹にはリスがいて、そして地面にはネズミがいるといった森の動物たちの縦の棲み分けを意識した作品になっています。
幹の途中には人間が座るスチールの円盤をいれ、ところどころに虫のための穴も用意。学生との試行錯誤の結果、刻んだ木の幹をリング状にだんだんに高くなるように積みあげる設計を採用しています。
また、作品タイトルにある「Tobusa」とは木こりが切った切り株の上に、切った木の枝を供えて、山の神に森の再生を祈った鳥総(とぶさ)という日本の伝統的な儀礼からきています。何か所かの切り株の上に植物が植えられているのは、そのためです。
篠原聡子教授のメッセージ
わたしたちが、アルテ?セラのためにデザインしたベンチができあがったと、このプロジェクトを紹介してくれたミラノ工科大学のマルコ?インペラ教授から、写真の添付がついたメールがきました。アルテ?セラは、北イタリアにある現代アートの屋外博物館です。
しかし、この博物館は、他の博物館と大きく異なっています。アルテ?セラでは、作品は作家と自然のコラボレーションによるものだと考えられています。
まず、アルテ?セラの豊かな自然は、作家を創作意欲刺激します。さらに作られた作品は、アルテ?セラの厳しい自然によって変化していきます。通常であれば、作家が作品を作り終えた時が、作品としての完成ですが、アルテ?セラでは、自然による作品の変化も作品の一部であると考えます。
私たちの作ったベンチのタイトルは、Shared Bench for Animals‘ Tobusa’です。つまり、アルテ?セラの森にすむいろいろな動物がシェアするベンチということです。Tobusaというのは鳥総(とぶさ)からきていて、木の切り株に、木の枝を供えたものを言います。これは、また森が再生することを祈った供え物です。このベンチを設計した2019年に、アルテ?セラは強い嵐によって酷いダメージを受けました。そして、たくさんの樹木が倒れました。私たちはこの森が再生することを祈って、この名前をつけました。そして、その嵐で倒れた樹木を使うことにしました。
しかし、虫や小動物や鳥はシェアするベンチとはどんなものか、創造がつきませんでした。それは、既存のベンチの形に捕らわれたいたからでした。森には、いろいろな動物が共生しています。それは、彼らは、地面からの高さによって、住み分けているのだということに気が付きました。そこで、倒木を色々なサイズに切って、低いものから、高いものまで、リング状に並べることにしました。そしてところどころに、人間のためにスチールの丸い板を挟みこみました。人間も森の動物の仲間に加えることにしました。
あとから、マルコから追加の動画が届きました。その動画には、森のネズミがいました。そして、その動画のタイトルは、A Future Inhabitant of Tobusa Bench でした。
球天下体育ワード
建築設計 集合住宅 共用空間
主な論文
「ミニ戸建開発で新しいコミュニケーションの形を提案する-隣接や集合にメリットを見出せる新しい関係 /特集 あらためて家族」
「voidの複合」
「可動間仕切りによる多様な空間」
「住まいの集合に見る可能性」 など