日本文学科卒業生が企画!本音のトークセッションで人生を考える
2024.08.21
2024年7月6日(土)、本学の成瀬記念館講堂にて「日本文学科就職ガイダンス—仕事、わたし、そして日文—」を開催しました。主催は文学部日本文学科、企画?運営は日本文学科の卒業生団体「そつぶんちょう」が担当し、卒業生4名が登壇して学生時代から現在に至るまでのキャリアと人生について、熱いトークセッションが行われました。日本文学科1年生が必修として受講し、日本文学科の2年次以上の学生、卒業生、保護者からも多くの希望者が参加しました。
登壇者のご紹介
日本文学科就職ガイダンス—仕事、わたし、そして日文—
今回の就職ガイダンスを企画?運営した「そつぶんちょう」は「後輩たちが明るい希望を持って社会に出ていけるように」という思いで、本学文学部日本文学科の卒業生が今年発足させた団体です。今回のようなガイダンスの企画や、noteを活用した情報発信などを行っており、代表を務めるのは鳥巣さん。鳥巣さんは卒業後に株式会社リクルートなどを経て、2017年にSally127を創業。洋服をネットで購入する際に使える「バーチャル試着」の技術を開発し提供する起業家でもあります。
就職ガイダンスの冒頭で、鳥巣さんは会場に「YESかNOで答えてください」と、3つの問いを投げかけました。
①日本文学科卒業生は、就職先が限られる
②登壇者全員“やりたいことが明確”だった!
③日本文学科での学びは、仕事には生かせない
これらの全てに「NO」だと語る、日本文学科卒業生のリアルなトークセッションが始まりました。鳥巣さんの進行のもと、登壇した3人の卒業生が後輩のために、就活サイトなどには掲載されないリアルな体験談を熱く語りました。一部抜粋してご紹介します。
——学生時代について教えてください
大木:学業では「大学が用意してくれている制度を、フルで活用しよう」という思いで、図書館司書資格を取得。f-campus制度で他大学の授業も履修したり、書道サークルや学科の委員会活動に参加したりしていました。
白鳥:勉強とアルバイトと合気道部と茶道部に打ち込む学生生活で、スケジュール帳に予定を目一杯書き込んでいました。
中原:演劇サークルや目白祭実行委員、学寮の自治、学科の委員会活動、アルバイトにもチャレンジして、「やりたいことを全部やる」4年間でした。
——現在の業務とやりがいとは?
大木:生命保険会社で契約に関わる事務業務全般を担当し、代理店が保険を販売する際のマニュアル作成をメインで行っています。作成したマニュアルが、代理店の働きやすさに繋がっていることにやりがいを感じています。
白鳥: 50か国以上の国籍の留学生が通う日本語学校で、クラス運営と毎日の授業、カリキュラムや教材作成、講師への研修全般などを担当しています。やりがいは「人の成長に直接関わることができること」であり、「日本が大好き」という人を着々と増やせることです。
中原:留学生の就職支援の会社でインサイドセールス(電話などを使用して非対面で行う営業)を担当しています。現在の働き方は、週3回のパート勤務。他の時間は6歳の長男と4歳の長女の子育てに邁進中で、「仕事と家庭、両方あること」がやりがいです。
大木:就職活動のときは安定した職に就きたいと考えて、金融業界の大手企業に就職しました。業務内容が細かく規定されていて自分なりに工夫することは難しい環境でした。社会人3年目に「新しく保険会社ができる」と聞いた私は「1から業務を創り上げられるのは面白そう!」と現在の仕事に転職を決めました。収入の安定だけでなく、「心の安定」を求めた決断だったと思います。
白鳥:就職活動の軸は「人との繋がりを実感できる仕事がしたい」だったので、人材紹介会社に入社しましたが、仕事内容への違和感を抑えられず退職。そこで、大学でお世話になった日本文学科の先生に相談に行きました。先生に背中を押していただいて、日本語教員になることを決意。知識を増やすために、働きながら大学院にも通いました。天職だなと思いながら現在まで日本語教師を続けていて、今年で11年目を迎えます。
中原:就職活動では「自己分析」に多くの時間を割きました。「学ぶことが好き」「生活の根幹を支える仕事がしたい」という自己を発見し、それらを叶える職種としてMR(医薬情報提供者。製薬会社の営業職)に就職。給与や福利厚生が魅力的でしたが、当時のMRは男性が多く激務でした。その後、2児の出産と夫の転勤を機にMRを辞め、現在は家族全員で健康に過ごすことを最優先にしながら、派遣という働き方を選択しています。
——日本女子大学に入学した理由は?
中原:日本女子大学に入学した理由は「変わりたい」と思ったから。地方出身の私は知人が周囲にいない環境でチャレンジしたいと思って、東京にある大学を志望していました。そして卒業した今感じているのは「変われる環境が日本女子大学はあった」ということ。先生との距離が近いので「こういうことがやりたい!」と気軽に相談できるのは本当に幸せだったと思っています。
大木:高校生のころから大学では日本文学を学ぼうと決めていました。しかし「日本文学科に進学しても就職には強くない」という話を聞いて、各大学の日本文学科の就職実績を見比べました。その中で本学の日本文学科は、大手企業に多くの先輩が就職していることが分かり、「私にもチャンスがある」と心強く感じて、日本女子大学に進学しました。
白鳥:日本文学科ではレポートなど文章を書く機会がとにかく多かったので「言語化能力」と「文献を調べる力」が鍛えられました。文献を調べ、比較して、自分の意見をまとめる、それは仕事にも共通するものであり、日本文学科での学びが強く生きていると感じています。また生成AIやYouTubeに負けない日本語教師であるためにも、「言語化能力」は重要だと感じています。
中原: MRをしていたころ1番実感していたのは「プレゼンテーション力」です。演習の授業で実践していた資料を読んで理解して人前で話すという経験がそのまま仕事に生きました。またMRは論文を読み続けることが求められるので、論文を読むことに対して抵抗がなくなるほど学生時代に論文を読んだことが力となりました。
トークセッションを終えて
【学生の感想】
本日のディスカッションでも日本文学科で学ぶ意味が話題になっていましたが、私自身「日本文学科での学びが社会にどう役に立つのか」と聞かれることや、「文学部や日本文学科は就活に不利」と耳にしたことがあります。ですが、みなさんのお話を伺って、日本文学科での学びがお仕事にいきていることがわかり、自信を持てました。素敵な先輩方に支えられていることも日本女子大学の良さだと改めて感じました。本日のお話を参考にしつつ、広い視点を持って自分のキャリアについて考えていきたいと思います。
左から本ガイダンスを企画した卒業生団体「そつぶんちょう」のキャラクター。本学文学部日本文学科公認キャラクター「にちぶんちょう」と同じく、本学科卒業生が制作した。/「にちぶんちょう」グッズは、クリアファイル、ノート、トートバッグなどと幅広く展開しており、学内外で「にちぶんちょう」が愛されている